こどもの歯の矯正はいつから?
私たちは、下の前歯が4本、上の前歯が2本、永久歯が生え変わった時期に矯正を開始されることをおすすめしています。
そのためには、矯正の相談や検査はそれまでに済ませておく必要があります。
小学校1年生の夏休みぐらいに受診して頂くのが良いと思います。
もちろん症例によっては、それより早い時期が適していることもありますので、歯並びが気になったら早目にご相談ください。
こどもの歯の矯正を行う
2つの治療時期
Aプラン
AプランにはⅠ期治療とⅡ期治療があります。Ⅰ期治療は、5歳~9歳の上顎の成長期に合わせたこの時期だけに行える矯正治療です。出来るだけ歯は抜かずに、スペースを作る目的の治療となります。Ⅱ期治療は、永久歯列になるのを待って行う矯正治療です。
Bプラン
乳歯から永久歯への交換期の終盤に開始する矯正治療です。Ⅰ期治療とⅡ期治療の区別はなく、抜歯を行う可能性が高くなります。
早期での治療が必要な場合も…
歯並びの乱れにはさまざまな種類がありますが、特に「骨格異常に由来する受け口」は早期の治療開始が必要になることがあります。骨格異常に由来する受け口とは、上の前歯が後方に傾いている・下の前歯が前方に傾いているといった「歯の傾き」によって起こる受け口ではなく、上顎が小さい・下顎が大きいといった「顎の骨格」の異常によって起こる受け口のことを指します。
これは、上顎の発達のスパート(発達の最終局面)が下顎よりも早い時期に訪れるためです。発達し終えてしまうと、上顎を適切な大きさにすることが難しくなります。
こどものこんな歯並びは
矯正が必要かも…
受け口(反対咬合・下顎前突)
受け口は、正式には「反対咬合」・「下顎前突」と言います。下の前歯が、上の前歯よりも前方に位置しているタイプです。
交叉咬合
交叉咬合は、奥歯の咬み合わせが交叉した状態を「交叉咬合」と言います。
出っ歯(上顎前突)
出っ歯は正式には「上顎前突」と言います。上の前歯が、下の前歯よりも大きく前方に位置しているタイプです。
噛み合わせが深すぎる(過蓋咬合)
上の歯が、下の歯に大きく被さっているタイプを「過蓋咬合」と言います。下の歯の半分、場合によってはほぼすべてが隠れてしまうようなケースも見られます。
歯がガタガタに並んでいる
(叢生・乱ぐい歯)
歯が前後にガタガタとズレて並んでいるタイプを、「叢生」または「乱杭歯」と言います。
犬歯が通常の歯列から飛び出してしまう「八重歯」も叢生のうちの1つであり、治療が必要です。
前歯の上下に隙間ができる(開咬)
奥歯を自然に噛み合わせたときに、上の前歯と下の前歯のあいだに隙間ができるタイプを「開咬」と言います。「オープンバイト」とも呼ばれます。
空隙歯列(すきっ歯)
いわゆるすきっ歯のことです。永久歯列期のすきっ歯は治療が必要です。
乳歯の場合のすきっ歯は正常です
乳歯列期に空隙歯列であるのは、歯並びの乱れではなくむしろ正常な状態です。永久歯への生え変わりによって、ほとんどのケースで解消されます。
逆に、乳歯列期に隙間のないぴったりした歯列であった場合には、生え替わりによるスペースの不足および歯並びの乱れに注意しなくてはなりません。
こどものうちに歯の矯正を行う
メリット・デメリット
メリット
抜歯する可能性を低くすることができる
もともとの子供の成長期を利用するため、歯が動きやすく、また痛みにくいです。
身体の発達にも好影響を与える
噛み合わせがよくなり、しっかりと噛めることから、食べ物を細かく砕き・すり潰して飲み込むようになります。食事から十分に栄養を摂取することができれば、身体の発達にも好影響を与えます。
成人後の矯正治療が不要になる
可能性が高くなる
歯並びは、何歳になっても悪化することがあります。ただ、小児矯正を受けておくことで、成人矯正が不要になる可能性は高くなります。
また、成人矯正が必要になった場合にも、簡単な治療で済むことが多くなります。
コンプレックスを解消できる・
自信や積極性が持てる
歯並びの乱れがコンプレックスである場合には、その解消が期待できます。また、自信や積極性を持つきっかけになることもあります。
汚れがたまりにくい・磨きやすい・
虫歯になりにくい
歯並びがきれいになると、食べ物の汚れがたまる隙間・段差が減り、汚れがたまりづらく、かつ歯が磨きやすくなります。これにより、虫歯リスクが低くなります。
歯茎の炎症・将来的な歯周病が起こりにくい
同じ理由で、歯茎の炎症が起こりづらくなります。また将来的な歯周病のリスクも少なくなります。
デメリット
治療中、治療後の通院が必要
習い事が1つ増えるような感覚で通院が必要です。時には受診を優先して受診して頂きたいこともあります。
子ども自身での管理が必要なため、装置の破損等が起きやすい
目的が理解できず、お子さんが治療に積極的になれないことがあります。
成人矯正が必要になることもある
小児矯正を受けたからといって、成人矯正が絶対に要らないということはありません。治療の後戻り、歯並びの乱れを防ぐためには、定期的な経過観察にきちんと通うことが大切です。
装置によっては虫歯リスクが高くなる
装置によっては、汚れがたまりやすい・磨きづらいといったことで、虫歯リスクが高くなることがあります。必要な際には別日でお時間をしっかりとりクリーニング、ブラッシング指導で、虫歯リスク上昇を防ぎます。
装置の見た目を気にすることがある
固定式の装置の場合、その見た目をお子さんが気にすることがあります。ただ、以前よりも小児矯正が一般的になってきているため、ほとんどのお子さんは前向きに治療に取り組んでくれます。
当院が扱う矯正装置
床矯正装置
顎の適切な発達を促し、永久歯が正しい位置に並べるようスペースをつくります。
取り外し式であるため、歯が磨きづらいということはありません。
ワイヤー矯正装置
ワイヤーの力で歯を並べていく装置です。
インビザライン
主にⅡ期治療で使用する、マウスピース型の矯正装置です。
1~2週間ごとに少しずつ形の違うマウスピースに交換し、装着し続けることで、微弱な力を持続的にかけて歯を動かします。
装置は透明なマウスピースなので、ほとんど目立たず矯正治療を行うことができます。
ただし、1日20時間以上の装着が必須となっております。
こどもの矯正治療の流れ
1矯正相談
当院の矯正治療への取り組み方の説明をさせて頂きます。
2検査
噛み合わせチェック、歯型の採取、レントゲン検査などを行い、歯並び・顎の状態を正確に把握します。
※必要に応じて、CTが必要になることがあります。
3診断、矯正治療の説明・ご提案
カウンセリング、精密検査の結果から診断し、お子さんに合った治療計画についてのご説明をいたします。治療計画、費用などにご納得・ご同意いただけましたら、治療へと移行します。
4矯正治療の開始
治療計画に沿った矯正治療を開始します。
通常、1ヵ月に1回程度ご来院いただき、装置の調整、歯並びのチェックを行います。
矯正治療費は
医療費控除の対象です
1年間でご家族が支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告でその内容を申請することで、所得に応じた控除が受けられる制度のことを「医療費控除」と言います。
領収書は、原則、再発行は致しませんので大切に保管して下さい。